ブータンが教えてくれる幸せのはかり方
「JICA地球ひろば設立10周年記念感謝祭」に行きました。市ヶ谷駅から徒歩10分、整備された道路を通って会場に入ると、さまざまな国を支援するNGO団体がブースを出して民芸品を売っていたり、世界を感じさせる空気が漂っていました。
お昼過ぎに始まったモデルの押切もえさんのクロストークでは、ブータンをテーマに取り上げていました。ブータンは「幸せの国」と呼ばれ、GDP(国内総生産)の代わりにGNH(国民総幸福)という指標を採用し、その数値を上げていくことを国家として目指しています。
ブータン駐在のJICA職員の方のお話では、ブータンに行って驚くことは、日本人と顔がそっくりなことだとか・・・。
(出所)ブータン政府観光局ホームページ
たしかに、ブータンの子どもたちの表情、日本の子どもたちに似ています。
また、ブータンは親日国としても知られており、国王夫妻が2011年に結婚したときの外遊先に日本を選び、東日本大震災の被災地を訪問したことが話題になりました。
(出所)朝日新聞DEGITAL:2011年11月、震災後の福島県を訪れ、児童と写真撮影をするブータンのワンチュク国王とジェツン・ペマ王妃=福島県相馬市
ブータンが指標とするGNHとは違うのですが、国連が159カ国を対象に「世界幸福度ランキング」を発表しており、2016年版の上位に入っている国はこのようになっています。
- デンマーク
- スイス
- アイスランド
- ノルウェー
- フィンランド
- カナダ
- オランダ
- ニュージーランド
- オーストラリア
- スウェーデン
このランキングでは、「国民1人当りの実質GDP(国民総生産)」、「社会保障」、「健康寿命」、「人生選択の自由度」、「寛容度」 、「汚職度」、「政治的自由度」などを説明変数として幸福度を割り出しているのですが、北欧諸国が多くランクインしているのが目立ちます。ちなみに、日本は53位で、ブータンは84位となっています。
北欧といえば、唯一、2010年にフィンランドに行ったことがあるのですが、いろいろな場面で人々のホスピタリティを実感したことが思い出されます。見た景色も素晴らしかったのですが、それ以上に、お店の店員さんとのコミュニケーションとか、バスの運転手さんのちょっとした優しさとかが、心に残りました。
ブータンにもきっと、言葉や写真だけではわからない、人が幸せを感じながら生きていく上で大切なものがあり、そこには、これから先の日本が超高齢化社会に立ち向かいながら、笑顔で暮らしていくヒントがあるような気がします。
(文/藤井祐剛)