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日本橋、浜町、人形町の「まちの法律家」

民泊に関するご相談

当事務所では、民泊に関心のある方からのご相談のほか、地域経済活性化に取り組む自治体の職員の方や市民向けに「イベント民泊」や「農家民宿」に関するセミナーの企画・運営を承っています。下記の「お問い合わせフォーム」から、お気軽にお問い合わせください

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民泊とは

「民泊」とは、旅行者などが一般の民家に宿泊することをいいます。広い意味では、旅行者を自宅の部屋や投資用マンションに有償で泊めることはもちろん、親戚や友人を無償で泊めることも「民泊」であるといえます。

日本で「民泊」という言葉を耳にするようになったのは、2008年にAirbnb(エアビーアンドビー)がサービスを開始した頃からです。これは、外国人観光客の増加に対して宿泊施設が不足していることを背景として広まった、インターネットを通じて旅行者に民泊サービスを提供するビジネスモデルです。

ここで問題となってきたことは、有償の「民泊」を反復継続して行うためには旅館業法の許可が必要なところ、無許可で民泊を行う人が増えてきたことです。

 違法に民泊ビジネスを行うとどうなる?
無許可で民泊サービスを行うと、旅館業法に定められた罰金が科されます。
かつては、「6ヶ月以下の懲役または3万円以下の罰金」でしたが、平成30年6月15日に施行される「旅館業法の一部を改正する法律」により罰則が強化され、罰金の上限額が100万円に引き上げられました

民泊の類型

2018年6月15日に施行される「住宅宿泊事業法」(いわゆる「民泊新法」)により、現在、合法的な民泊には主に5つのパターンがあります。

➊ 旅館業法の民泊
➋ 民泊条例の特区民泊
➌ 住宅宿泊事業法(民泊新法)の民泊
➍ イベント民泊
➎ 農林漁業体験民宿業の民泊

➊ 旅館業法の民泊

旅館業法の許可を受けて行う民泊です。旅館業には、「旅館・ホテル営業」、「簡易宿所営業」、「下宿営業」という3つの形態があります。旅館業法の民泊を行う場合、この3つのいずれかの許可を取ることになります。

  • 旅館・ホテル営業:施設を設けて、宿泊料を受けて人を宿泊させる営業であって、簡易宿所営業および下宿営業以外のもの
  • 簡易宿所営業:宿泊する場所を多数人で共用する構造及び設備を思とする施設を設けて、宿泊料を受けて人を宿泊させる営業であって、下宿営業以外のもの
  • 下宿営業:施設を設け、1ヶ月以上の期間を単位とする宿泊料を受けて人を宿泊させる営業

このうち、民泊に適しているのは「旅館・ホテル業」または「簡易宿所営業」であるといえます。実際、すでに行われている旅館業法の民泊の多くは「簡易宿所営業」の許可を取っています。

➋ 民泊条例の特区民泊

原則として、有償で民泊サービスを提供するためには、旅館業法の許可が必要です。しかし、旅館業法で定められた厳しい基準をクリアしなければならないため、許可を得ることは簡単ではありません。そこで、民泊の活用を促進するために、特区に指定された自治体に限定して、基準を緩和したのが特区民泊です。特区民泊は、正式には、国家戦略特別区域外国人滞在施設経営事業といいます。

2018年4月段階では、東京都大田区、千葉市、新潟市、大阪府、大阪市、北九州市で実施されています。

特区民泊の概要

(出所)「国家戦略特区 特区民泊について」, 内閣府地方創生推進事務局, 平成30年4月20日

➌ 住宅宿泊事業法(民泊新法)の民泊

住宅宿泊事業法は、民泊の合法かつ適正な運営を促進するにより観光立国を実現することを目的として、2017年6月に成立・交付し、2018年6月15日から施行される新しい法律です。
民泊サービスを提供する場合は届出をすること、また、民泊サービスの管理業や仲介業を行う場合は登録をすることを定め、違反者への罰則規定も明文化しています。

住宅宿泊事業とは

住宅宿泊事業法では、「住宅宿泊事業」を次のように定義しています。

「住宅宿泊事業」とは、旅館業法が規定する営業者以外の者宿泊料を受けて住宅に人を宿泊させる事業であって、人を宿泊させる日数として国土交通省令・厚生労働省令で定めるところにより算定した日数が1年間で180日を超えないものをいう。
(参考:住宅宿泊事業法第2条第3項)

ここで最大のポイントは、民泊の営業日数が「1年間で180日を超えない」と規定されていることです。日数の計算は、宿泊サービスの性質から、正午から翌日の正午までを1日として、毎年4月1日正午から翌年4月1日正午までの期間に人を宿泊させた日数を数えます。

自治体の条例による制限

住宅宿泊事業は、住居専用地域でも行うことができるため、地域住民の生活に影響を与える可能性があります。そこで、住宅宿泊事業法は次の定めを置いています。

都道府県は、住宅宿泊事業に起因する騒音の発生その他の事象による生活環境の悪化を防止するため必要があるときは、合理的に必要と認められる限度において、政令で定める基準に従い条例で定めるところにより、区域を定めて、住宅宿泊事業を実施する期間を制限することができる
(参考:住宅宿泊事業法第18条)

この条文により、自治体は、民泊をはじめることで騒音やその地域の生活環境を悪化させると考えられるような場合、条例を定めることで、営業日数の上限を180日より短い期間に制限することができます。

東京都中央区の例|中央区住宅宿泊事業の適正な運営に関する条例

当事務所が所在する東京都中央区では、条例により、住宅宿泊事業は土日(週末)のみ認められることが定められました。

宿泊期間を限定します
本区は、区内全域で事業所と住宅が共存し、多くの方がマンションに居住しています。居住者以外の人が多数出入りすることで防犯機能の低下など区民の方々の生活環境が悪化しないよう区内全域を制限区域とします。この制限区域では、通勤などで区民が不在となることが多い平日の民泊事業の実施を制限し、区内全域で土曜正午から月曜正午の宿泊のみを認めます。
(出所)中央区ホームページ, 2018年3月10日更新

➍ イベント民泊

イベント民泊とは、イベント開催時に自治体の要請等により自宅を旅行者に提供する行為をいいます。
次の3つの条件をクリアする場合に、「旅館業」に該当しないものとして取り扱い、自宅提供者において、旅館業法に基づく営業許可なく、宿泊サービスを提供することを可能とするものです。

イベント民泊の条件

① 年数回程度(1 回当たり 2~3 日程度)のイベント開催時であること
② 宿泊施設の不足が見込まれること
③ 開催地の自治体の要請等により自宅を提供するような公共性の高いものであること
(出所:「イベント民泊ガイドライン」, 観光庁観光産業課, 平成29年7月10日付事務連絡)

ちなみに、イベント開催地の自治体の要請を受けて行う公共性が認められる民泊であれば、イベントそれ自体が公共的なものである必要はありません。これまでに、地域の伝統的なお祭りのほか、スポーツイベントや音楽イベントなどで行われた例もあります。

国がイベント民泊を許可する意図は、多数の集客が見込めるイベント開催時の宿泊施設の不足を解消することにより、観光消費を拡大することです。他方、自宅等の本来は宿泊施設ではない施設に旅行者を泊めることから、トラブル防止、衛生面・治安面での事故予防の観点からの配慮も求められます。

徳島市の事例|阿波おどりイベント民泊

● イベント民泊実施期間:2017年8月11日~8月16日
● 自宅提供者募集期間:2017年6月1日~7月28日

募集条件及び留意事項(一部抜粋)
① 徳島市内にある⾃宅等であること
② 空き家は不可ですが、住居の同⼀敷地内の離れは提供可能
③ 宿泊者ひとりあたり3.3㎡程度(畳約2畳分)を確保すること
④ 宿泊者に⾷事の提供はできない
⑤ 原則宿泊場所の提供のみで、周遊観光や特別なおもてなし等は任意
⑥ 住宅⽤⽕災警報器を宿泊者受け⼊れまでに設置することが必要
⑦ 宿泊⾦額は⾃宅提供者⾃⾝で設定が可能(⼀律○○円/泊などのルールは設けず)

【実施結果(民泊受入)】
自宅提供者:26名
提供部屋数:38室
延べ宿泊人数:273名(うち外国人:44名)

(出所)「シェアリングエコノミーを活用した新しい働き方の創造と地方創生」, 株式会社パソナ

徳島イベント民泊説明会チラシ

(出所)全国徳島県人会連合会ホームページ, 2017年6月30日

➎ 農林漁業体験民宿業の民泊

農林水産省は1994年に、農山漁村地域での滞在型余暇活動(グリーン・ツーリズム)促進による農村漁村地域の振興を目的として、「農山漁村滞在型余暇活動のための基盤整備の促進に関する法律」(農山漁村余暇法)を制定しました。この法律の中で、農林漁業体験活動を通じて農山漁村の人・もの・情報と深く触れ合うことができる「農林漁業体験民宿業」の登録制度を設け、旅館業法の規制を緩和しています。

農林漁業体験民宿業とは

農山漁村余暇法では、「農林漁業体験民宿業」を次のように定義しています。

「農林漁業体験民宿業」とは、施設を設けて人を宿泊させ、農林水産省令で定める農村滞在型余暇活動又は山村・漁村滞在型余暇活動に必要な役務を提供する営業をいう。
(参考:農山漁村余暇法第2条第5項)

 

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浜町公園前行政書士事務所
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