イベント民泊と地方創生に向けた自治体の取り組み
イベント民泊とは
観光庁観光産業課の『イベント民泊ガイドライン』(平成29年7月10日付)によると、イベント民泊とは「イベント開催時に自治体の要請等により自宅を旅行者に提供する行為」と定義されています。
具体的には、次の3つの要件を満たす場合に、自宅提供者が旅館業法に基づく営業許可なく、宿泊サービスを提供す ることを可能とするものです。
① 年数回程度(1回あたり2〜3日程度)のイベント開催時であること。
② 宿泊施設の不足が見込まれること。
③ 開催地の自治体の要請等により自宅を提供するような公共性の高いものであること。
なお、イベント民泊の対象となるイベントは、必ずしも自治体が主催している必要はなく、協賛、後援しているものも含まれます。また、イベント民泊の実施について公共性が認められるのであれば、イベントそれ自体が公共的なものである必要はありません。
対象となるイベントには、たとえば、地域のお祭り、花火大会等のほか、国際会議や展示会等のビジネスイベント(MICE)、スポーツイベント、コンサートなどの音楽イベント等も含まれます。
イベント民泊の目的は、次の2つです。
① 多数の集客が見込まれるイベントの開催時に宿泊施設が不足する地域で、その不足を解消する。
② 旅行者が日帰りではなく宿泊することで、その地域で夕食をとったり、翌日に観光することも可能となるため、交流の促進や観光消費の拡大等につながる。
他方、本来は宿泊施設ではない施設に旅行者が宿泊する「イベント民宿」を実施することに対して、次のような懸念も考えられます。
① 自宅提供者、宿泊者、近隣住民間のトラブルの発生
② 衛生面、治安面に関する事故などの発生
そこで、イベント民泊を実施する場合には、これらの懸念点についての配慮が求められます。
イベント民泊の事例
徳島市の事例|阿波おどりイベント民泊
● イベント民泊実施期間:2017年8月11日~8月16日
● 自宅提供者募集期間:2017年6月1日~7月28日
【募集条件及び留意事項(一部抜粋)】
① 徳島市内にある⾃宅等であること
② 空き家は不可ですが、住居の同⼀敷地内の離れは提供可能
③ 宿泊者ひとりあたり3.3㎡程度(畳約2畳分)を確保すること
④ 宿泊者に⾷事の提供はできない
⑤ 原則宿泊場所の提供のみで、周遊観光や特別なおもてなし等は任意
⑥ 住宅⽤⽕災警報器を宿泊者受け⼊れまでに設置することが必要
⑦ 宿泊⾦額は⾃宅提供者⾃⾝で設定が可能(⼀律○○円/泊などのルールは設けず)
【実施結果(民泊受入)】
自宅提供者:26名
提供部屋数:38室
延べ宿泊人数:273名(うち外国人:44名)
(出所)「シェアリングエコノミーを活用した新しい働き方の創造と地方創生」, 株式会社パソナ
【徳島イベント民泊説明会チラシ】
(出所)全国徳島県人会連合会ホームページ, 2017年6月30日
その他のイベント民泊事例
徳島県の事例以外にも、次のようなイベントでイベント民泊が行われました。
- 嵐、EXILEのライブツアー(福岡)|2015年 12月17日〜19日/ 12月26日〜27日
- 東北風土マラソン|2016年4月23日~4月24日
- 相馬野馬追|2016年7月23日~7月25日
- 五所川原立佞武多|2016年8月4日~8月8日
- 仙台七夕まつり|2016年8月6日~8日