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日本橋、浜町、人形町の「まちの法律家」
2016-10-26

日本橋のアンテナショップ巡り

10月から、茨城県の地域産品を扱う企業向けのマーケティング塾のコーディネーターをつとめています。今日は、そのプロジェクトの一環で、茨城県北地域の加工業者さんたちと一緒に日本橋地区にあるアンテナショップ巡りをしました。


茨城マルシェ

まずは、JR有楽町駅の近くにある「茨城マルシェ」に行きました。お店に入ると、最初に新鮮な野菜が目に入ります。進むにつれて所狭しと加工食品が並び、一番奥には地酒や地ビールが並んでいます。ちなみに、店員さんに質問したところによると、今いちばん売れている商品は「究極のメロンパン」という、水を使わずにメロンの果汁と果肉だけで生地を練って作ったメロンパンでだそうです。

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茨城県というと、納豆、梅干し、干し芋、こんにゃくなどの加工食品が有名ですが、農業産出額が北海道に次ぐ第2位という日本屈指の農業県です。ところが、都道府県の魅力度ランニングでは47位(最下位)を爆走中ということで、「伸びしろ日本一。いばらぎ県」がキャッチコピーになっているようです。自虐ネタながら、センスの良さを感じます。

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[リンク]茨城マルシェ


日本橋とやま館

銀座通りを日本橋に向かって15分くらい歩いていくと、日本橋三越の手前に「日本橋とやま館」があります。白を基調とした店内は、とても洗練されたセレクトショップのような雰囲気です。

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館内に観光案内所があったり、コンシェルジュがいたりと、富山県の情報発信拠点としての役割を担っています。とくに注目した産品は「越中富山 幸のこわけ」シリーズです。

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富山から、幸せ届けるおすそわけ

富山では、婚礼の引き出物として、大きな「鯛の細工かまぼこ」が長く用いられてきました。持ち帰られた鯛のかまぼこは、小さく切り分けてご近所に「おすそわけ」されます。この「おすそわけ」を通して、贈る人、もらう人、そしてその家族や地域全体で、よろこびや幸せを分かち合うのです。
富山には、そんな鯛の婚礼かまぼこに代表される「おすそわけ」の風習が、今も色濃く根付いています。
「越中富山 幸のこわけ」は、豊かな海と山に恵まれた風土や、地域独自の食文化、職人の技に育まれる富山の幸の数々を「おすそわけ」のかたちと心でお届けします。
贈って喜ばれ、もらってうれしい手軽な食べきりサイズです。

(出所)日本橋とやま館ホームページ

「幸のこわけ」シリーズの興味深いところは、富山県内の複数の企業が共通コンセプトのもと、同じパッケージで売っていることです。地域産品の売り方について考えるとき、1社単独でのブランディングはコスト的に難しいため、地域単位で共通コンセプトを見つけて、地域ブランドを作っていくことは有効だと感じました。

[リンク]日本橋とやま館


三重テラス

日本橋三越の通りを挟んで反対側には、「奈良まほろば館」、「ブリッジにいがた」、「にほんばし島根館」、「三重テラス」とアンテナショップが並んでいます。今日はこの中でも「三重テラス」を訪問しました。

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三重テラスは、1階にアンテナショップとレストランがあり、2階にイベントスペースがあることが特徴です。昨年は年間167件のイベントを開催したそうです。

ショップのコンセプトとして興味深いことは、今年5月に行われた「G7 伊勢志摩サミット」のPR効果をうまく活かしていることです。店内には専用ブースがあり、また、10月29日には、伊勢志摩サミットの関係閣僚会合が開催された10県のアンテナショップ合同で地酒の試飲会を行うようです。

▶︎伊勢志摩サミット開催記念企画「10県が集う!お国自慢 地酒サミット」

[リンク]三重テラス


アンテナショップを比較すると、各都道府県がどのような地域価値を生み出そうとしているのか、東京の真ん中に置く拠点をどのように位置付けているかなどの戦略の違いが垣間見えます。G7伊勢志摩サミットのような、地域ブランドとは一見関係なさそうな外部環境の機会も活かしていることは新たな発見でした。日本橋地区には、他にもアンテナショップがあるので、ツアーを組んで回ってみるのも面白そうです。

(文/藤井祐剛)

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